日本の口腔疾患の現状
歯周病は、現代の国民病といわれるほど潜在患者を含む患者数が多く、現在では、30歳以上の約70%の人か罹患しているという報告があります。40年前に比べ、人々が口腔ケアに意識を傾けるようになり、歯磨きを1日に複数回実施する人口は増加しましたが、歯周病罹患率はそれに反し増加傾向にあります。歯周病は、初期症状があまりなく、自己判断で放置するケースが多くみられ,歯を失う原因にもつながります。歯科医療従事者として患者様の日々の予防をしっかりと行う必要があります。
出典: 厚生労働省 平成28年 歯科疾患実態調査結果の概要
ブラッシングやフロス指導だけでは足りない?
通常のブラッシングやフロスでケアできるのはお口のわずか約25%
ブラッシングだけで口腔内をケアできる割合は、歯の表面積である約25%のみというデータがあります。 歯を磨いただけでは落とせない舌や歯茎、咽頭粘膜など口腔内全体を清潔に保つために、正しい口腔ケアを指導する必要があります。
口内の表面積における歯の面積の割合 出典:Kerr W.J.S. and D.A.M. Geddes. The areas of various surfaces in the human mouth from nine years to adulthood .J. Dent. Res. 1991, 70 (12)
マウスウォッシュの役割
殺菌成分を有するマウスウォッシュは、バイオフィルム形成過程のうち、細菌の付着及び、定着を防ぐ役割があります。また、口臭予防効果がある、マウスウォッシュはバイオフィルムに直接作用するのではなく、 細菌が産生する口臭原因物質に直接働くものと、殺菌効果により口の中の細菌数を相対的に減らすものがあります。 ただ、成熟したバイオフィルムの構造体内の細菌は殺菌しきれませんので、 日々の継続的なマウスウォッシュの使用を患者さんに教育することで、形成初期のバイオフィルムの付着・定着を阻止することが重要になってきます。